南会津 大沢高森山 2010年4月11日

所要時間  5:04 林道入口−−5:27 斜面取り付き−−6:53 大沢高森山 6:57−−7:49 林道−−8:02 林道入口



 大沢高森山は大嵐山、袴腰山間に挟まれた尾根上にあり、標高は1400m弱とさほど高いわけではないが、この程度なら2日目の山として適度だろう。夏道があるとは聞いたことはないが、場所、標高から推測すると笹の激藪とは言わないだろうが、標高が上がって尾根が広いところ、傾斜が緩いところでは笹がはびこっている可能性はあるので、雪があるうちに登るのが安全だろう。

 アプローチは山の東西の衣川、??のどちらでも同程度だが、僅かに標高が高い衣川から攻めることにした。集落手前で西根川右岸に渡る林道を利用し、最初のカーブで適当に斜面に取り付いて尾根を登っていこう。林道は除雪されていないだろうから最初からワカンの登場かもしれない。

薄暗い中を出発 林道は入口から除雪無し

 林道入口に到着すると予想通り除雪されておらず、道路の反対側にある駐車余地に車を置いて歩きだした。今日は朝から曇りでそろそろ日の出の時刻だが薄暗く街頭が煌々と輝いている。雪の上にはスノーモービルのトレースが付いている。橋を渡って直線的な林道を緩やかに登っていくが、気温が高くて雪が締まらず僅かな登りでも足が重いので早速ワカンの出番だ。少しはマシになるが全く沈まないわけではないので先が思いやられる。

最初のカーブで林道を離れる 適当に上を目指す
尾根に乗ると雪無し どこまで行っても雪無し

 林道が大きく左カーブするところで林道を外れ、適当に斜面に取り付く。北斜面なのでまだ残雪があるが、上部は雪が消えているのが見えるので尾根上に出たら雪は無いだろう。尾根に上がるとやっぱり雪はないが、落葉広葉樹林で下草も笹も潅木藪もほとんど無いので歩きやすい。どこで雪が出てくるか分からないのでワカンのまま歩いていたが、どこまでも雪が見えないのでワカンをザックにくくりつけての歩きに切り替える。さて、ワカンが必要になるのはどこから先だろうか。

1149m標高点付近で主尾根に乗る 主尾根上も雪は少ない

 薄い笹の尾根を登りきると1149m標高点のすぐ南の肩に到着、帰りのためにここに目印を残す。もしかしたらこの尾根上には踏跡があるかと思ったがそんなことはなく、ほとんど歩かれていないようだ。ただし登ってきた枝尾根よりもずっと広く、生えている木も太くなって木の間隔が広くなり歩きやすい。東斜面に雪が残っているが、稜線上は僅かに雪庇の残骸らしい残雪が稜線東にへばりついている程度で、この気温では締りがなくこの笹の密度では雪の無い場所を歩いた方が楽であろう。

落ちていた目印 白身山。立派に見える
まだ雪は現れないが藪は薄い 熊棚

 あまり大きなアップダウンはないが細かいアップダウンを繰り返しながら徐々に標高を上げていく。途中、目印を2箇所で見かけたが古そうなテープだった。また、ブナの幹に何か文字が刻まれたのも何本か見たが地元民だろう。それも相当古そうだった。尾根が屈曲する箇所でも目印を残す。いつの間にか西斜面は唐松植林に変わっていた。標高が標高なので樹林が途切れることがなく、谷を挟んだ西側には袴腰山、白身山が聳えているがすっきり見える箇所が無く、どうにか隙間から見える場所を探して写真撮影した。白身山は北から見ると帝釈山の稜線に埋もれてほとんど判別不能だが、ここから見ると立派なピークに見える。今日は天候が悪く空は暗い雲に覆われ、帝釈山の山頂部は雲に隠れていた。ほんの少しだが雨粒が落ちるようになり、本降りになる前に下山できるかちょっと心配になってきた。

1227m峰のワイアーのかかった木 コゲ跡のある桧
標高1250m付近 ようやく大沢高森山が見えた

 1227m峰ではワイアーが張られた木があり、伐採した木の運搬用に索道として利用されたのだろうか。少し下って広い尾根を登っていくと少しずつ笹が増えていくがまだ許容範囲だ。笹が中心で潅木藪が無いのもいい傾向であろう。標高1250m付近でやっと尾根上にも雪が見られるようになり、1310m肩で東の展望が開け目の前には大嵐山が姿を現した。

1310m肩から南を見る 1310m肩から見た大嵐山
1310m肩から見た真名板倉山 1310m肩から見た枯木山(左のピーク)

 ここで尾根は右に屈曲し、尾根東側の雪庇残骸も大きくなり、雪質はあまりよくないがまあまあ歩きやすくなった。雪が消えた尾根上の笹は徐々に増えてきており、残雪の上を歩く方が楽だが無雪期に藪漕ぎするのは勘弁願いたいレベルではない。

山頂手前で尾根上は笹薮 東を巻いたが軟雪で苦労

 山頂直下で傾斜が増すと尾根上の雪が消えて笹が姿を現したので、雪が多い東から巻くことにしたが、東斜面の雪は全く締りがなく膝から股まで踏み抜く最悪の展開で、よほどワカンを付けようかと思ったが山頂はすぐなのでそのままつぼ足で通す。

山頂台地に出る 西端に土手状の長い高まりあり
土手の最高地点を山頂とした 大沢高森山から見た袴腰山

 難儀して軟雪斜面地帯を登りきると広い台地状の山頂の一角に到着、付近一帯も雪に覆われているが平坦地では雪が締まって足首程度しか沈まなくなった。南北に長い平坦地で木が邪魔で南端は見えないが、地図では北寄りに三角点があることになっており、ここから見ると西側が土手のように狭い幅で高まっていた。その土手に上がり、一番高そうな場所に到着、しかし付近は雪庇に覆われ、少し離れた西側は地面が出ているが三角点は見えない。目印や山頂標識は皆無であり、GPSの電源を入れると緯度を入れ間違ったのか山頂までの距離は南に数kmと出ているではないか。まあ、たまには入力ミスもあるか。見える範囲ではここが最高地点であるのは間違いなく、山頂としていいだろう。近くの木に赤テープを巻いておいた。

1310m肩付近から見た古町丸山 唯一の目印

 まだ僅かに雨粒が落ちてくる程度で雨具は不要だが、遠方の山は徐々に霞んできている。昨日登った丸山がやっと見える程度で、その奥の山は霧の向こう側だ。尾根分岐に目印を残したため迷うことなく登りと同じ尾根を巡り、最後は適当に北斜面に下ってカーブミラーに出た。尾根の最後の方で徐々に雨の降り方が強くなり、雨具を出すか考えるところだがあと10分くらいで車に到着するのでそのまま下を向いて雪の林道を歩いた。林道は平坦に見えるが僅かに下っていて往路よりずいぶん足が軽かった。

 車に戻る頃には本降りの雨となり、どうにか雨具のお世話にならずに歩くことができた。濡れた藪に触れて衣服がびしょびしょになることもなく、早朝から歩いたかいがあった。

 

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